英国最大の音楽の祭典、Mercury Music Prize(マーキュリー・ミュージック・プライズ)の最終候補者が火曜日に発表された。

honeywest2004-07-26

ソースはhttp://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/music/3909017.stm
マーキュリー・ミュージック・プライズは昨年UK発表されたUKとアイルランドのアルバムを讃えるもので、幅広い年代の音楽ファンの投票によってべストアルバムが選ばれる。ノミネート作品は音楽批評家、ジャーナリストやアーティストによって180のアルバムの中から選ばれた。受賞者は9月7日に発表され、BBC Two、BBC FourとBBC Radio 1で放送される。
スコットランドのロックバンドFranz Ferdinandフランツ・フェルディナンド:写真右)、新世代ラッパーのThe Streets(ザ・ストリーツ:写真左)、17歳の天才ソウルシンガーJoss Stone(ジェス・ストーン)などの12のアーティストが今年のマーキュリー・ミュージック・プライズの候補者リストに残った。
べテラン・ソロアーティストのRobert Wyattロバート・ワイアット:59歳)とラップの新人Tyのエントリーは今年のサプライズだ。 Robert Wyattは1960年代に有名サイケデリック・バンドSoft Machineソフト・マシーン)のメンバーとして音楽のキャリアをスタートさせ、現在はジャズ、フォークとポップの垣根を飛び越えてBrian Enoブライアン・イーノ)、Elvis Costelloエルヴィス・コステロ)やAnnie Whitehead(アニー・ホワイトヘッド)などの様々なアーティストと共演している。
インディーズ・バンドのThe Zutons(ザ・ズートンズ)、Snow Patrol(スノウ・パトロール)、Belle & Sebastianベル&セバスチャン)やスタイル抜群でダンスもイケるイギリス版Beyonceビヨンセ)ことJamelia(ジャメリア)も候補者入りした。ノミネート作品中、5枚がデビューアルバムというフレッシュな顔ぶれだ。
The StreetsことMike Skinner(マイク・スキナー:22歳)は労働者階級から見たイギリスを、訛った英語(分かりやすく言えば、ベッカムのしゃべるような英語。イギリスでは階級によってしゃべりが異なる)でラップし、その歌詞はユーモアに溢れ、イギリスの"今"を垣間見ることができる。Eminemエミネム)とよく比較されるが、よりロック色が強く、新しいラップの方向性を打ち出していると言えよう。"Fit But You Know It"がBlur(ブラー)の"Parklife"を思い起こさせるのはご愛嬌。
"Fit But You Know It"が視聴できる公式サイトはこちらhttp://www.thestreets.co.uk/updates/flyers/fbyki/index.html
Keane(キーン)は一般的なのロックの型にはまらない、ヴォーカル、ピアノ、ドラムという編成の3人組で、イギリスらしい叙情的で流麗なメロディラインが特徴だ。Coldplay(コールドプレイ)を発掘したFierce Pandaからデビューしているのも頷ける。彼らは2004年BBC News Onlineで最も前途有望な新人に選ばれている。
グラスゴーのアート・ロックバンドFranz Ferdinandは批評家の絶賛を浴び、スウェディッシュ・ポップ・ムーブメントの立役者Tore Johansson(トーレ・ヨハンソン)がプロデュースしたデビューアルバムはミリオンセラーとなった。今年のグラストンベリー・フェスティバルでも成功を収めた、今最もホットなバンドだ。
バンド名は、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件(1914年6月28日、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子夫妻がサラエボで暗殺された事件。)で暗殺されたオーストラリア皇太子の名前に由来する。
アルバムからのシングル"Take Me Out"は80's ニューウエーブとポスト・パンクからの影響が色濃いイギリスならではのヒネリが効いたポップで、その意外な曲展開に驚かされる。彼らの感性は凝ったPVにも反映されている。"Take Me Out"を初めて見た私は、Monty Pythonモンティ・パイソン)時代のTerry Gilliam(テリー・ギリアム)のアニメーションを思い出した。
過去にはPrimal Screamプライマル・スクリーム)、PJ HarveyPJハーヴェイ)、Roni Size(ロニ・サイズ)、Gomez(ゴメス)、Portishead(ポーティスヘッド)、Pulp(パルプ)、Suedeスウェード)やM Peopleなどの新旧ビッグネームがマーキュリー・ミュージック・プライズを受賞している。しかしRadioheadU2OasisColdplayDidoなどのワールドワイドな成功を収めたメジャー・アーティストの受賞はない。
昨年は並み居る強豪を押しのけ、イースト・ロンドン出身のラッパーDizzee Rascal(ディジー・ラスカル:当時18歳)が史上最年少で受賞した。彼はJay Z(ジェイ・Z)をサポートしたことがある実力者で、16歳で"I Luv U"でデビューし、当時は10年に1人の逸材と騒がれた。意外にもProdigy(ザ・プロディジー) で有名なXL Recordingレーベルに所属している。受賞者は突然メディアの注目を浴び、受賞作のアルバムセールスは急激に上昇する。Dizzee Rascalのアルバム"Boy In Da Corner"は、昨年の受賞後に150%も売り上げがアップした。
Mercury Music Prize公式サイトはこちらhttp://www.nationwidemercurys.com/