The Smiths

「何もなかった」と評される80年代の音楽シーンの中で、インディーズ・レーベル所属ながらヒットを連発し、インディ・バンドとしては最高の成功を収めた。バンド名は、UKでもっとも平均的な姓で、MorrisseyとJohnny Marr(ジョニー・マー)が凡庸さを証明するために付けたという。
83年にシングル・デビューしたThe Smithsは、メンバー全員がイギリス北部の斜陽な工業都市マンチェスター出身で、デビュー後即座に当時の若者層から熱狂的支持を得、Morrisseyの過激な発言や行動は大きな影響力を持った。Smithsの活動期間は約4年と短いが、Morrisseyの皮肉あふれる文学的な歌詞とJohnny Marrのポップ・センスが奇跡の融合を果たし、伝説のバンドとして解散後も様々なアーティストから圧倒的な支持がある。
残念ながらMorrisseyの外国、飛行機嫌いのため、Smiths時代は一度も日本の土を踏んでいない。これがSmithsの世界進出を阻んだといわれている。事実オーストラリアからはNo.1になったため来てくれと懇願されていたという。「あれがなかったらU2とかR.E.Mくらいになってたかもしれない。」と後に元メンバー、Andyが語っている。
Morrisseyはバンド解散後ソロに転向したが、とても成功と呼べるものではなく、EMI→RCA→マーキュリーとメジャー系レーベルを渡り歩いて作品を発表し続け、前作のレコーディング後はアイランド・レコードから解雇され、近年はレコード契約のない状況だった。
しかし新レーベルと契約し、今年の5月に7年ぶりの最新作「ユー・アー・ザ・クワーリー」を発表してからは、去年のDuran Duranデュラン・デュラン)のような再評価ムーブメントが巻き起こっている。7年間のブランクを打ち消すかのような活動ぶりで、ヨーロッパの数々のフェスや日本のフジロックフェスの8/1のグリーン・ステージに出演し、大トリを務めることが決定している。しかし彼はこの時期全米ツアーの真っ最中で、7/29にはイリノイ、8/2にはミネソタでライブの予定がある。あの飛行機嫌いの彼が、このハードスケジュールの中、無事に来日してくれるのか...関係者はさぞ気をもんでいることだろう。
ちなみに5/22にマンチェスターでライヴを行なった彼は、同ライヴ会場においてはホットドッグやハンバーガーなど食肉を扱う屋台の出店を禁止するよう主催者側に要求したという。理由は「ハンバーガーの臭いが立ちこめる中で"Meat Is Murder"を歌うのは偽善だ」ということである。いかにもMorrisseyな意見だが...フジロックは大丈夫だろうか?